2025年7月6日に行われた第2回スタディーサークル日本版ガイドライン作成ミーティングでは、スタディサークルを日本で広げるために欠かせない「他の集まりとの違い」や「リーダーの役割」について、実際の経験や思考を交えての対話となりました。
今回は、その内容を整理し、スタディーサークルに関心を寄せる皆さんに向けてお届けします。
スタディサークルと他の集まりの決定的な違い
今回の対話でまず話題になったのが、「スタディーサークルと他の学びの場の違いは何か」という問いでした。
■ 消費的参加と主体的参加
メンバーからは、一般的な講座と比較する声がありました。多くの勉強会や講座では、誰かが用意した内容を参加者が受け取る形になりやすく、それは「消費的な参加」になりがちだという指摘です。
「一般的な講座って、準備してくれた人がいて、その人のルールに従って参加する感覚がある。もちろん良い場も多いけれど、どこか“参加させてもらっている”という消費者的立場になる」
一方スタディーサークルでは、主催者や講師が全てを決めるのではなく、参加者自身がテーマを選び、進め方を考え、ルールさえも自分たちで決めることができるという点が大きな違いです。
■ 自治的学びの場
「スタディーサークルには主催者がいない」と表現するメンバーもいました。実際には進行役となるリーダーはいますが、その役割は決して「指導者」ではなく、場の運営を支えるファシリテーターです。方向性を決めるのはあくまでメンバー全員。つまり、自治的に学びを創っていく場であることが特徴です。
スタディーサークルのリーダーとは – 教える人ではなく支える人
今回最も議論が深まったテーマが「リーダーの役割」でした。
■ 誰でもできる役割?
メンバーからは、「スタディーサークルのリーダーは誰でもできる役割だと思う。ただ、率先して何かを決める人というより、進行をサポートする人。」という声がありました。
■ スウェーデンのリーダー研修の必要性
スウェーデンでもスタディーサークルリーダー研修は重要視されており、特に様々な価値観や意見が出る場面では、リーダーが話題を整理したり、ネガティブな方向に傾かないよう促す役割が求められます。
「いろんな意見が出る中で、ネガティブな発言をただ受け流すのではなく、どう話し合いに変えていくか。こうしたファシリテーション力が必要になる。」
■ 最低限のルールを伝え続ける人
また、誰もが自由に発言できるからこそ、最低限のルールや場の目的を伝え続ける存在が必要だという意見も出ました。「リーダーは最低限のルールを伝え続ける人かな。なあなあになると学びの場として機能しない。」
日本で「リーダー」という言葉が持つイメージ
議論では、「リーダー」という言葉の持つ日本的イメージについても課題が挙がりました。
■ リーダー=責任者という誤解
日本では、リーダーと聞くと指導者や責任者をイメージしがちで、メンバーからも「“私リーダーです”と言った瞬間に、全部その人が決める前提になりがち。」という懸念がありました。これでは、スタディサークルの「対等性」が崩れてしまいます。
スタディーサークルリーダーに求められること
今回の対話から浮かび上がったリーダー像をまとめると、以下のようになります。
場を整える人
進行、時間管理、テーマ提示などを通じて、対話が円滑に進むよう場を整える。
安心安全を守る人
誰もが意見を言える空気を作り続ける。
問いを立てる人
答えを与えるのではなく、問いを投げかけ、考えを深める。
まとめない人
結論を急ぐのではなく、対話を広げ、深めることを大切にする。
責任を独占しない人
役割を分散し、メンバー全員が主体的に場を創るよう促す。
他の集まりとの違いをどう伝えるか
今回改めて課題になったのが、スタディーサークルと他の集まりの違いをどう伝えるかという点です。
■ 他の集まりとの違い
他の対話型の集まりでは、発言しなくても場が成立する場面があります。一方スタディーサークルは、全員の参加と責任で成り立つグループワーク型であり、「ただ参加する場」ではなく「共に場を創る場」であるという違いがあります。
■ 継続性と余韻
また、スタディーサークルは単発で終わることなく、前回の学びが次につながり、余韻を持ち続ける点も特徴です。「講座はその場で完結するけれど、スタディーサークルは次回まで余韻を引きずり、学びが繋がっていく。」
日本で広げるために – 言語化と練習
最後に、日本でスタディーサークルを根付かせるために出た意見をまとめます。
言語化の必要性
他の集まりとの違いを的確に言語化しないと伝わらない。
リーダーの練習機会
誰でもリーダーを経験できるようにすることで、役割が固定化せず、全員参加型の場が育つ。
リーダー研修の検討
ファシリテーションや問いの立て方など、スタディーサークルらしいリーダーシップを学ぶ機会を作る。
おわりに
今回のミーティングでは、スタディーサークルの本質に迫るような対話が交わされました。スタディサークルとは、誰かに教わる場ではなく、共に学び合う場。そして、リーダーとは指導者ではなく、場を支える人。
この理念をどう伝え、どう実践に落とし込むか。今後のガイドライン作成でも、この問いを大切に深めていきたいと思います。
*こちらの記事は、Noteでも掲載しています。https://note.com/studycircles/n/n0163859aa8f5
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Last Updated: 2025-10-07 by Study Circles Japan
第6回:参加者一人ひとりが「場の担い手」ということ
2025年10月、「スタディーサークル日本版ガイドライン」の作成に向けた第5回ミーティングを開催しました。今回は、「参加者が主体的に場に関わる」ことを促すためのツールとして「ふりかえりチェックリスト」について、意見交換を行いました。
場づくりの担い手は「リーダーだけ」ではない
日本の文化的背景、たとえば「空気を読む」傾向が、自己表現や率直な対話を難しくしているという意見が出ました。こうした状況において、スタディーサークルの対話をより豊かにするためには、リーダーだけでなく、参加者一人ひとりが「学びの場の担い手」であるという意識を持つことが不可欠です。
この課題意識から、「ふりかえりチェックリスト」を導入することが、学びの質を高め、継続的に対話の場を育んでいくための試みになるという仮説を立ててみたのです。
「ふりかえりチェックリスト」の5つの項目と意図
以下の5項目がチェックリスト案として提示され、それぞれの意味や言葉の選び方について丁寧な検討がなされました。
① 自分の「問い」や「感じたこと」を、言葉にして出すことができましたか?
発言の大小に関わらず、場に自分の視点を持ち込むことは、学び合いの力になります。
② 他の人の意見を尊重する姿勢を意識しながら、参加できたと思いますか?
安心して話せる空気づくりや、他の人の意見を尊重する姿勢を意識できたか、思い返してみましょう。
③ 対話を通して新たな視点や気づきを得たり、共通の関心へとつなげることができたと感じますか?
④ 今日は「自分ができることは何か?」を意識して行動しましたか?
話す、聴く、進行を助ける、場の雰囲気を和らげるなど、どんな小さなことでも場づくりへの貢献になります。
⑤ 「リーダーや他の誰かが作る場」ではなく、「みんなで育てる場」を意識しながらスタディーサークル・メンバーの一員として関われましたか?
責任や役割を他人に委ねるのではなく、自分の持っている力や権利を活かそうとする姿勢があったかどうかを振り返りましょう。
今後の活用と展望
このチェックリストは、今後スタディーサークルのセッション冒頭で「今日意識してほしいこと」として共有し、終了後には参加者が振り返るツールとして活用していく予定です。まずは試験的に導入し、得られたフィードバックをもとにさらに洗練させていきます。
*こちらの記事は、Noteでも掲載しています。https://note.com/studycircles/n/n9079620a8f05
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2025-10-07
Last Updated: 2025-10-07 by Study Circles Japan
第5回:スタディーサークルの魅力について話し合ってみた
2025年9月、私たちは「スタディーサークル日本版ガイドライン」の作成に向けた第4回目のミーティングを開催しました。今回のテーマは、ガイドラインの大まかな構成の整理と、特にその中の一項目である「スタディーサークルの魅力」についてです。
スタディーサークルとは、年齢や職業、背景を越えた多様な人々が、対等な立場で学び合う“ゆるやかな学びの場”です。学校でも会社でもない、「学びたい」という気持ちを出発点に、自分たちでテーマを決め、自由に対話を重ねていきます。
スタディーサークルの魅力
今回の対話では、私たちそれぞれが実際にスタディーサークルに関わる中で感じてきた「魅力」を出し合いました。その中で見えてきたのは、単なる学び以上の、“人生を豊かにする場”としてのサークルの姿でした。
たとえば、ある人は「自分の意見を安心して言える場」だと語りました。仕事でも家庭でもなく、損得や正解を気にせず話せる場所は、意外と少ないものです。スタディーサークルでは、価値観の異なる人と出会い、常識がゆるやかに揺らぐような瞬間が生まれます。そのプロセスは、ときにとても心地よく、ときにハッとさせられるものです。
また、「テーマを自分たちで決められる自由さ」も大きな魅力です。誰かに与えられた学びではなく、自分たちの関心からスタートするからこそ、「誰にも教わることができないテーマについて学ぶことができる」という魅力があります。
実際に出た声のひとつに、「金銭的なつながりから離れた、非営利の学びが心地いい」というものがありました。金銭的なメリットやデメリットという思考から解放され、義務感ではなく自発的な学びだからこそ、人は前向きに、自然体で関われるのです。
さらに、スタディーサークルは「社会的な役割」や「肩書き」から一度離れられる場所でもあります。子ども時代に求められた「良い子」、大人になってからの「良い従業員」としての振る舞い。そうした役割をいったん脇に置いて、「自分は何を感じ、どう生きたいのか」を考える場でもあるのです。
今回の対話では、「人生の制限の中で“どう生きたいか”を共に考える場」「ときめきや満たされる感覚を共有する場」といった、日常を少しだけ豊かにするヒントのような言葉も生まれました。
もちろん、スタディーサークルを開催したからといって、すぐにこのような場所になる訳ではありません。初めての人にとっては、自分の意見を言うこと自体が高いハードルに感じられることもあります。だからこそ、安心して話せる雰囲気づくり——たとえば、自己紹介に工夫をこらしたり、アイスブレイクの方法を取り入れたりすることが大切だという気づきもありました。
スタディーサークルは、「みんなで学びをつくっていく」という新しい学びのかたち。私たちのガイドラインづくりはまだ始まったばかりですが、これからも丁寧な対話を重ねながら、一人ひとりにとっての“学びの原点”を言葉にしていきたいと思います。
ガイドラインの構成案
今回のミーティングで考えたスタディーサークルガイドラインの構成は次のとおりです。
1.ガイドラインの目的
ガイドライン・ガイドブックの意義について整理します。
2.スタディーサークルの魅力(今回のミーティングのポイント整理)
スタディーサークルは、ただの学びの場ではありません。参加者一人ひとりが、日常ではなかなか得られない「気づき」や「変化」を体験できる、特別な場です。
まず大きな特徴は、「先生が教える場」ではなく、「自分たちの関心からスタートする学びの場」であることです。だからこそ、学校や仕事では触れられない、「本当はずっと気になっていたこと」や「誰にも教わることができなかったテーマ」について、自分たちで深く掘り下げることができます。
その過程で出会うのが、他者の多様な価値観です。普段の生活では接点の少ないような人たちと意見を交わすことで、自分の中の「当たり前」がやわらかく壊され、新たな視点が生まれます。このような対話の積み重ねが、自分自身の変化を促していきます。
スタディーサークルでは、自分の意見に価値があると感じられる瞬間が多くあります。それは、誰かの問いや気づきに触発され、自分もまた誰かの学びの一部になっているという実感です。
また、この場には金銭的なつながりがありません。非営利だからこそ、お金や立場ではなく、「その人自身」で関わることができるのです。
そしてもう一つの魅力は、固定化された役割や肩書きから一歩離れられること。「良い子」「良い従業員」として振る舞うことを求められる日常から少し離れて、「自分で考える」「自分たちで考える」場に身を置くことができます。
そのような場では、ときに胸がときめいたり、心が満たされる感覚を共有できたりすることもあります。さらに、子育てや仕事、介護などさまざまな制約がある中で、「自分はどう生きたいのか?」を安心して語り合える——そんな温かな時間が流れています。
3.なぜ日本にスタディーサークルが必要なのか
現代社会における意義や課題をふまえて考察します。
4.スタディーサークルとは
基本的な定義や起源、価値観を紹介します。
5.スタディーサークルリーダーについて
リーダーの役割や姿勢、問いの立て方などを明示します。
6.スタディーサークルの進め方
具体的な運営方法、アイスブレイクや対話の工夫、進行のコツなどを記載します。
ガイドライン完成までまだまだ時間を要しますが、どうぞお付き合いください!
*こちらの記事は、Noteでも掲載しています。https://note.com/studycircles/n/n843838ea44f5
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NPO法人スノック
2025-09-15
Last Updated: 2025-10-07 by Study Circles Japan
第4回:目的を共有するということ
2025年8月2日に開催された「第3回スタディーサークル日本版ガイドライン作成ミーティング」では、グループ運営における「成長のフェーズ」や「目的の共有」について、参加者の実体験をもとに対話をしました。今回はその内容を整理し、スタディーサークルに関心を寄せる皆さんに向けてご紹介します。
グループには「成長のフェーズ」がある
「グループには段階的な成長過程がある」という考え方をご存知でしょうか?スタディーサークルのような学びの場は、ただ人が集まれば成立するものではありません。時間とともに変化しながら、段階を経て成熟していきます。
最初のフェーズでは、参加者は「仲間になりたい」「役に立ちたい」と前向きな気持ちで参加し、運営も理想的で民主的な方向を目指します。次に訪れるのが「模索と混乱のフェーズ」。それぞれが自分の立ち位置や役割を探り始め、「自分はこのグループで何を得たいのか」と自問する時期です。この段階では、価値観の違いや意見の衝突が生じやすく、グループの持続性が試されます。
しかし、こうした「混乱期(ストーミング期)」を乗り越えられれば、やがてグループは真の意味での協働状態に達します。信頼関係が育まれ、役割分担も自然に調整される「統合期」へと進むのです。
混乱は成長のサイン
対立や違和感が生じると不安になるかもしれませんが、それはグループが前に進むための通過点です。今回のミーティングで「混乱は避けるべきものではなく、むしろ必要なプロセスである」との認識が共有されました。ある参加者は「許された環境でオープンにもめることが大切」と表現しました。衝突を通じて、自分たちが本当に目指している「目的」や「価値観」が浮かび上がります。それが、次のステップへとつながるのです。
「目的の共有」が無駄を見直す鍵になる
印象的だったのは、「目的の共有」は単に方向性を揃えるだけでなく、「今の活動を見直すきっかけ」になるという視点でした。目的が明確になれば、「このアクションは本当に必要か?」「本来の目的に合致しているか?」という問いが自然に生まれます。すると、続けることが前提になっていた不要な作業を見直し、より本質的な活動に切り替えることができます。
これは日本の多くの職場にも通じる問題です。前任者から引き継がれた業務が目的を見失ったまま続けられ、業務はどんどん肥大化。意思決定には時間がかかり、調整業務が他の仕事を圧迫し、人間関係にゆとりがなくなる——こうした悪循環が生まれています。本来、目的の共有にかける時間が最も重要であるはずなのに、そこに時間が割けないことで、本末転倒な状況になってしまっているのです。
スタディーサークルは、誰かに強制されて学ぶ場ではありません。参加者自身が目的・内容・方法を話し合いながら進める「民主主義の実験場」ともいえる学びの場です。このグループワークの実践は、職場や社会の在り方に新しい視点をもたらす可能性を秘めています。
スタディーサークルは「変化を楽しむ学びの場」
スタディーサークルが目指すのは、知識の一方通行ではなく、参加者同士が対話を通じて学び合い、成長していく場です。「目的を共有すること」、「意見の対立を超えて、どこまで話し込めるか、どうやって中間地点を一緒に見つけるか」はスタディーサークルの中で必要とされる重要な考え方です。
異なる価値観を持つ他者が集まり、「我々の目的とは何か?」「妥協点はどこにあるのか?」を模索することは、民主主義的な社会を運営するための礎になると考えます。
こうした価値観を大切にしながら、私たちはこれからも、スタディーサークルという文化を日本に広げていきたいと考えています。
*こちらの記事は、Noteでも掲載しています。https://note.com/studycircles/n/nd98c6da8c44c
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2025-08-11
Last Updated: 2025-10-07 by Study Circles Japan
第3回:リーダーの役割とは
2025年7月6日に行われた第2回スタディーサークル日本版ガイドライン作成ミーティングでは、スタディサークルを日本で広げるために欠かせない「他の集まりとの違い」や「リーダーの役割」について、実際の経験や思考を交えての対話となりました。
今回は、その内容を整理し、スタディーサークルに関心を寄せる皆さんに向けてお届けします。
スタディサークルと他の集まりの決定的な違い
今回の対話でまず話題になったのが、「スタディーサークルと他の学びの場の違いは何か」という問いでした。
■ 消費的参加と主体的参加
メンバーからは、一般的な講座と比較する声がありました。多くの勉強会や講座では、誰かが用意した内容を参加者が受け取る形になりやすく、それは「消費的な参加」になりがちだという指摘です。
「一般的な講座って、準備してくれた人がいて、その人のルールに従って参加する感覚がある。もちろん良い場も多いけれど、どこか“参加させてもらっている”という消費者的立場になる」
一方スタディーサークルでは、主催者や講師が全てを決めるのではなく、参加者自身がテーマを選び、進め方を考え、ルールさえも自分たちで決めることができるという点が大きな違いです。
■ 自治的学びの場
「スタディーサークルには主催者がいない」と表現するメンバーもいました。実際には進行役となるリーダーはいますが、その役割は決して「指導者」ではなく、場の運営を支えるファシリテーターです。方向性を決めるのはあくまでメンバー全員。つまり、自治的に学びを創っていく場であることが特徴です。
スタディーサークルのリーダーとは – 教える人ではなく支える人
今回最も議論が深まったテーマが「リーダーの役割」でした。
■ 誰でもできる役割?
メンバーからは、「スタディーサークルのリーダーは誰でもできる役割だと思う。ただ、率先して何かを決める人というより、進行をサポートする人。」という声がありました。
■ スウェーデンのリーダー研修の必要性
スウェーデンでもスタディーサークルリーダー研修は重要視されており、特に様々な価値観や意見が出る場面では、リーダーが話題を整理したり、ネガティブな方向に傾かないよう促す役割が求められます。
「いろんな意見が出る中で、ネガティブな発言をただ受け流すのではなく、どう話し合いに変えていくか。こうしたファシリテーション力が必要になる。」
■ 最低限のルールを伝え続ける人
また、誰もが自由に発言できるからこそ、最低限のルールや場の目的を伝え続ける存在が必要だという意見も出ました。「リーダーは最低限のルールを伝え続ける人かな。なあなあになると学びの場として機能しない。」
日本で「リーダー」という言葉が持つイメージ
議論では、「リーダー」という言葉の持つ日本的イメージについても課題が挙がりました。
■ リーダー=責任者という誤解
日本では、リーダーと聞くと指導者や責任者をイメージしがちで、メンバーからも「“私リーダーです”と言った瞬間に、全部その人が決める前提になりがち。」という懸念がありました。これでは、スタディサークルの「対等性」が崩れてしまいます。
スタディーサークルリーダーに求められること
今回の対話から浮かび上がったリーダー像をまとめると、以下のようになります。
場を整える人
進行、時間管理、テーマ提示などを通じて、対話が円滑に進むよう場を整える。
安心安全を守る人
誰もが意見を言える空気を作り続ける。
問いを立てる人
答えを与えるのではなく、問いを投げかけ、考えを深める。
まとめない人
結論を急ぐのではなく、対話を広げ、深めることを大切にする。
責任を独占しない人
役割を分散し、メンバー全員が主体的に場を創るよう促す。
他の集まりとの違いをどう伝えるか
今回改めて課題になったのが、スタディーサークルと他の集まりの違いをどう伝えるかという点です。
■ 他の集まりとの違い
他の対話型の集まりでは、発言しなくても場が成立する場面があります。一方スタディーサークルは、全員の参加と責任で成り立つグループワーク型であり、「ただ参加する場」ではなく「共に場を創る場」であるという違いがあります。
■ 継続性と余韻
また、スタディーサークルは単発で終わることなく、前回の学びが次につながり、余韻を持ち続ける点も特徴です。「講座はその場で完結するけれど、スタディーサークルは次回まで余韻を引きずり、学びが繋がっていく。」
日本で広げるために – 言語化と練習
最後に、日本でスタディーサークルを根付かせるために出た意見をまとめます。
言語化の必要性
他の集まりとの違いを的確に言語化しないと伝わらない。
リーダーの練習機会
誰でもリーダーを経験できるようにすることで、役割が固定化せず、全員参加型の場が育つ。
リーダー研修の検討
ファシリテーションや問いの立て方など、スタディーサークルらしいリーダーシップを学ぶ機会を作る。
おわりに
今回のミーティングでは、スタディーサークルの本質に迫るような対話が交わされました。スタディサークルとは、誰かに教わる場ではなく、共に学び合う場。そして、リーダーとは指導者ではなく、場を支える人。
この理念をどう伝え、どう実践に落とし込むか。今後のガイドライン作成でも、この問いを大切に深めていきたいと思います。
*こちらの記事は、Noteでも掲載しています。https://note.com/studycircles/n/n0163859aa8f5
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Last Updated: 2025-10-07 by Study Circles Japan
第2回:改めて語り合い、見えてきたこと
私たちが普段取り組んでいるスタディーサークルについて、スノックさんとじっくり語り合う時間を持ちました。きっかけはある参加者から出た、スタディーサークルに参加していても「最初は何をしているのかよくわからなかった」「枠組みが見えにくくて不安だった」という率直な感想でした。この言葉を出発点に、「私たちは何をしているのか?」「この場はどんな学びの場なのか?」という問いを、皆で共有し、掘り下げて、スタディーサークルの日本版ガイドラインの作成を試みることにしました。
“自由さ”と“戸惑い”のあいだにあるもの
スタディーサークルは、一般的な講義形式の学びや、哲学カフェやソーシャルカフェのような対話の場とも異なります。ここでは、決まった先生や講義内容があるわけではなく、参加者一人ひとりが「自分の学びの主体」として、対話を通じて場をつくりあげていきます。その自由さが魅力である一方で、初めて参加する人にとっては、「何をすればいいのか分からない」「正解が見えない」といった不安にもつながりやすいという課題も見えてきました。
特に「テーマが最初から決まっているスタディーサークル」と、「参加者自身がテーマから決めていくスタディーサークル」の二つの形があり、後者は自由度が高い分、戸惑いやすいという指摘がありました。自由であるがゆえに、どうしても最初は不安を感じやすく、そこに継続性と安心感をどう両立させるかが、私たちの大きな課題です。
そこで私たちが大切にしたいと思ったのが、以下の4つのエッセンスです。
継続的な対話
1回の集まりだけで完結するものではなく、何度も顔を合わせる中で、少しずつ考えが変わったり、自分の内面に変化が起きたりする。そうした“じわじわとした変化”が、このサークルの醍醐味です。継続的に対話することが、自己変容や相互理解を育てる土壌になります。
参加目的の共有
スタディサークルの最初の段階で、「なぜ参加したのか?」「何を期待しているのか?」を一人ひとりが言葉にする時間を設けることの大切さを確認しました。目的の共有は、他者への理解と共感を生み、場への関わり方を深めてくれます。
対等な関係性の構築
「教える人/教わる人」という上下の関係ではなく、「みんなが学び合う仲間」という前提で関わることが、この場の土台です。発言しやすい空気づくり、聞くことへの敬意、それぞれの違いを尊重することが、対等性を育みます。
合意形成のプロセス
何をテーマにするか、どんなペースで進めるか、どこまで深めるか──そうしたことも、参加者みんなで話し合って決めていく。それがスタディサークルの醍醐味であり、難しさでもあります。対話を通して合意をつくり上げていくプロセスこそが、民主的な関わり方の実践であり、大切な学びの一部です。
これらの4つの視点を意識することで、私たちが大切にしている「ただ知識を得るのではなく、共に生き方を問うような学びの場」というスタディサークルの姿が、よりくっきりと見えてきた気がします。スタディーサークルは、誰かが一方的に進行するのではなく、参加者一人ひとりの関わりで場が生まれ、育ち、変化していくプロセスそのものが学びです。時に混乱もありますが、それすらも含めて「自分たちでつくる場」の手応えがあるのです。
これらの4つの視点を意識することで、私たちが大切にしている「ただ知識を得るのではなく、共に生き方を問うような学びの場」というスタディサークルの姿が、よりくっきりと見えてきた気がします。スタディーサークルは、誰かが一方的に進行するのではなく、参加者一人ひとりの関わりで場が生まれ、育ち、変化していくプロセスそのものが学びです。時に混乱もありますが、それすらも含めて「自分たちでつくる場」の手応えがあるのです。
この日の対話のなかで、「スタディーサークルって、やっぱり自分自身を知る場でもあるよね」という言葉が印象に残りました。他者と対話しながら、自分が大事にしたいことに気づいたり、揺らいだりしながら、新たな価値観に出会っていく。そんな“変化の余白”を抱きしめながら、これからも私たちはこの学びの場を、少しずつ手作りしていきたいと思います。
*こちらの記事は、Noteでも掲載しています。https://note.com/studycircles/n/n96b3e6283137
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Last Updated: 2025-10-07 by Study Circles Japan
第1回:なぜスタディーサークルなのか
スウェーデンでは100年以上もの歴史を持つスタディーサークルですが、勉強すればするほど、運営すればするほど、その根底にあるものはなかなか深いなぁと感じています。深いし、社会のニーズに合わせて変化してきた部分があるしで、説明を求められた時に言語化が難しい。
社会運動との深いつながりがあるため、スタディーサークルはただの「学びのコミュニティー」というわけではなく、民主主義の促進、実践、体験の場であり、国から決められた学びではない、自主的な学びを大切にしています。対等な関係性での学びの促進と、それによって民主主義をベースとしたより良い社会の構築を目指している、いわば社会運動の引き金なのだという印象です。
私もスウェーデンでスタディーサークル・リーダーとしてお仕事をしていたにもかかわらず、スタディーサークルの基盤となっている概念「Folkbildning(民衆学習)」を「こうだろう。」という感じで感覚的に理解し、深い部分まで理解できずににその任務を全うしていました。運営団体であるStudieförbund(学習協会)も助成金で運営しているため資金不足なのか、Folkbildningについてしっかりと学ぶ機会を得られぬまま、スタディーサークルやフォルクホーグスコーラ(民衆学校)に携わっているコースリーダー達が多いんですね。そしてやっぱりもう少しFolkbildningについて理解したいという人たちが集まり、働きながら大学でオンラインの講義を受けたりします(私もその一人)。それぐらい、理解するにはアカデミックな学習が必要となってきます。深いですよね。
ただ、そのような曖昧な中でFolkbildningに携わっている人たちでも、やはり「アツい」人たちが多いということが特徴として挙げられるように思います。私にとってスウェーデンは、市民社会のイメージが強く、「一人一人が社会を創り上げるんだ!」という強い意識を感じる国の一つであり、そのような意識を社会に浸透させるプロセスに貢献したのが、まさしくFolkbildningという考え方、つまりスタディーサークルなのだと思います。
スタディーサークルは、Folkbildningの理想郷のような感じですね。みんなのためにあり、みんなが作る学びの場。そしてそのみんなが「社会」を意識して学びを作り上げていけば、それがみんなにとってより良い社会を創ることにつながっていく。そのようなことの実現を目指した、ユートピア的な存在なのかなぁと、これまでの経験を通して集めた知識を総動員して自分なりに理解・整理をしております。そんな「アツい」アクティビスト(活動家)の集まり、それがFolkbildningに関わる人たちなのかもしれないです。
Mika Tominaga
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